恩田陸さんが書かれた小説「蜜蜂と遠雷」。
直木賞と本屋大賞の同時受賞をした作品でもあり、非常に人気が高いです。
2019年10月4日には松岡茉優さん、松坂桃李さんなどをキャストにして映画公開も決まっています。
話題作であることは間違いありませんが、一方で、一色まことさんが手がけた漫画「ピアノの森」の内容と似ているという声もあります。
ネット上でも「パクリ」「酷似」という声があり、本当に内容が似ているのかどうか、気になるところですね。
今回は、「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」の内容を振り返り、似ているかを比較していきたいと思います。
内容にはネタバレ要素は少し含みますので、ご注意ください。
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この記事の目次
「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」は似ているの?
「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」の内容が似ているのか。
まずは2つの作品を読まれた読者の声を実際に検証していきたいと思います。
Twitterで「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」の作品を探していくと・・・・・
何度も言うけど直木賞と本屋大賞を取った小説「蜜蜂と遠雷」はマンガ「ピアノの森」のパクリ。(アニメ版ピアノの森を見ながら)
— ... (@110designnet) January 7, 2019
冬休みの読書に「蜜蜂と遠雷」を借りてきたんだけど、冒頭で「ピアノの森」のパクリかともう投げ出したい。「いつもポケットにショパン」って面白いのかな。
— 和 島次 わしまじ (@washhimaji) January 1, 2019
事務所にずっと置いてある蜜蜂と遠雷が気になって読んでみたんだけど、数ページ読んだだけでピアノの森じゃんってなった。恩田陸大好きだけど、流石にこれはパクってrとしか…
— さわ (@krsw4a) June 24, 2018
恩田陸「蜜蜂と遠雷」読了。
ページをめくる手が止まらない程には面白いのだけど、長い物語のわりにどこか薄っぺらい気も。本屋大賞最近イマイチ、再読はしそうにない。というかこれ「ピアノの森」若干パクってないか?— よちろー (@yochirooo) June 6, 2019
このように2つの作品が酷似していることを指摘する声は多いです。
内容の多くが、"「蜜蜂と遠雷」が「ピアノの森」をパクった"というものです。
恩田陸さんといえば直木賞以外にも、吉川英治文学新人賞(2004年)や日本推理作家協会賞(2006年)という名だたる受賞歴がある人であり、驚いています。
恩田さんがパクリではなく、パクられたのではないかということも考えられるので、発売の時系列を確認してみました。
作品名 | 蜜蜂と遠雷 | ピアノの森 |
---|---|---|
作家名 | 恩田陸 | 一色まこと |
発売日 | 2016年9月23日 | 1998年〜2015年 |
ジャンル | 小説 | 漫画 |
出版社 | 幻冬舎 | 講談社 |
受賞 | 直木三十五賞、本屋大賞 | 文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞 |
映画化 | 2019年(実写映画) | 2007年(アニメ映画) |
上記の表の通り、「ピアノの森」は1998年に連載が始まり、2015年に全241話、26巻で終了しています。
2008年には第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞も受賞しており、かなりのヒット作品であることはいうまでもありません。
その後に「蜜蜂と遠雷」が発売されているので、もし内容が似ているのであれば、先ほどの
"「蜜蜂と遠雷」が「ピアノの森」をパクった"
というのは間違いなさそうですね・・。
それでは、まずは2つの作品の内容を振り返っていきましょう。
「蜜蜂と遠雷」(恩田陸)のあらすじ・ネタバレは?
恩田陸さんが2016年に書かれた小説「蜂蜜と遠雷」について内容を振りかっていきます。
物語は年齢も生き方の異なる4人のピアニストを軸に展開していきます。
あらすじも含めて下記をご覧ください。
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。
かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。
完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?
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主役の4人が若手の登竜門である「芳ヶ江国際ピアノコンクール」への優勝を目指し、切磋琢磨していく物語です。
15歳の風間塵は父親と遠に各地を転々としているようで、ピアノを持っていなし設定です。
ピアノなしでコンクールにどう出るのかと思いますが、そこはきちんと小説に描かれているのでしょう。
また、ピアノを通して4人の人間性も描写されており、読者の人はより共感できる人物に気持ちが入っていくのではないでしょうか。
余談になりますが、映画でのキャスティングは下記の通りです。
かなり豪華な役者陣であり、原作を読んでいない人でも楽しめると思います。
配役(物語の歳) | 俳優・女優 |
---|---|
栄伝亜夜(20歳) | 松岡茉優 |
高島明石(28歳) | 松坂桃李 |
マサル(19歳) | 森崎ウィン |
風間塵(15歳) | 鈴鹿央士 |
「ピアノの森」(一色まこと)のあらすじ・ネタバレは?
[the_ad id="5494"]続いて、一色まことさんの漫画「ピアノの森」の内容について振り返っていきます。
「ピアノの森」は主人公が一ノ瀬海という少年です。
一ノ瀬は人に蔑まれる「森の端」の住人であり、娼婦の息子という設定です。
唯一のおもちゃは森に捨てられたおもちゃであり、それを引いていくうちに生まれながらの絶対音感と表現に磨きがかかっていきます。
ピアノの実力と芸術性に優れた一ノ瀬は、阿宇野という人間に実力を見出されます。
阿宇野壮介は世界的に有名なピアニストでしたが、交通事故により再起不能となっていました。
自身では成し遂げられたなかった夢を一ノ瀬に託し、二人三脚で実力をあげていきます。
そして、その後は世界的巨匠であるジャンジャックセローに推薦され、ショパンコンクールに最年少出場します。
表立ったあらすじだけをみれば、そこまで内容は酷似していないですね。
「コンクール」を目指すのはピアノの世界では当たり前のことです。
また、主人公も「蜜蜂と遠雷」は4人であるのに対し、「ピアノの森」は一ノ瀬海という少年(のちに青年)をメインに描いています。
では、一体どんなどころが「似ている」「パクリ」となるのか。次の項目で比較していきたいt思います。
「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」は似ているのか?パクリかどうか内容比較
「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」が似ているといわれている点は、下記の4点です。
・主人公の設定
・主人公の師匠
・登場人物の再会
・音楽の表現方法
それでは具体的にどのような点なのか。
細かい部分を確認していきたいと思います。
主人公の設定が似ている
1つ目は主人公の設定が似ているという意見です。
主人公となるメインの人数は2つの作品で異なっていますが、ある人物のフォーカスを当てるとびっくりするほど似ていました。
●「蜜蜂と遠雷」 主人公:風間塵
養蜂家の父親と共に暮らしており、フランス中を移動しながら生活をしている。
定住をしていないため、ピアノを持っていない。
荒削りな部分はあるものの、天性の才能を持っている。
●「ピアノの森」 主人公:一ノ瀬カイ
蔑まれる「森の端」の住人であり、娼婦の息子。
森に捨てられたピアノをおもちゃとしており、絶対音感の持ち主。
天才的なピアノ才能を持っており、その才能を発掘された。
主人公2人を比較していくと、下記のような類似点がみつかりました。
・片親の元で育っている
・貧乏(裕福ではない)
・きちんとした家がない
・自分のピアノを持っていない
・天才的な才能を持っている
ざっとあげてみても、共通点が多いですね。
恵まれた環境にはいないが、ピアノの上では天才的であり、才能がある。
という、絵に描いたような物語の主人公ですね。
確かに「ピアノの森」の一ノ瀬を知った後に、「蜜蜂と遠雷」を読むと酷似していると指摘を受ける部分はあるかもしれません。
おそらく、恩田陸さんも似ていることを承知で小説を書いていたと思います。
しかし、そこは物語に他の3人のピアニストを加えることで、相対的に風間塵の存在を薄くして類似性を小さくしたのでしょう。
風間塵だけの物語でしたら、丸パクリといわれてもおかしくはありません。
主人公の師匠が似ている
2つ目は主人公の師匠となる人物が似ているという意見です。
●「蜜蜂と遠雷」 師匠:ユウジ・フォン=ホフマン(主人公:風間塵)
風間塵は5歳時からホフマンに師事していましたが、物語で亡くなっている設定です。
ホフマンは世界最高峰のピアニストであり、コンクールに出場したのはホフマンの推薦状によります。
●「ピアノの森」 師匠:阿字野壮介 (主人公:一ノ瀬カイ)
一ノ瀬カイの才能を見出したのが、元天才ピアニストの阿字野壮介。
物語では事故に手を怪我したことでピアニストとしての道を断ち、現在は小学生の先生です。
主人公の才能を見出したのが、天才ピアニストという設定です。
国籍や立場も違いますが、天才が天才を見出すという点ではかなり似ています。
ただ、これについては芸術の世界のため、師匠と弟子という関係は普遍的ともいえますね。
先ほども記載しましたが、主人公の前提となる設定が似ているため、その後に登場する師匠にも類似性を感じざるを得ないというところだと思います。
登場人物の再会が似ている
3つ目は登場人物の再会が似ているという意見です。
●「蜜蜂と遠雷」 栄伝亜夜とマサル
栄伝亜夜が優勝候補のマサルカルロスと小学生のとき出会い、マサルが再会を心待ちにする。
●「ピアノの森」 一ノ瀬カイと丸山誉子
小学生時のコンクールで出会い、丸山誉子がカイとの再会を心待ちにする。
「蜜蜂と遠雷」はこれまで述べてきた風間塵ではなく、栄伝亜夜とマサルの関係性の話になります。
これに関しては、パクリとまでいえないまでも、シチュエーションをかなり似せているのは間違いありません。
幼少期に出会った2人が、片方が再会を待ち望んで成長して対面するという内容です。
このような昔からのライバルというのは野球やサッカーでもよくある話ではありますが、それにしても似ています。
「蜜蜂と遠雷」を書く際にアイディアを拝借したのは間違いないと言われてもおかしくはありません。
音楽の表現方法が似ている
4つ目は音楽の表現方法が似ているという意見です。
これについては実際に読んだ人にはわかりませんが、共に文字(「ピアノの森」は絵も)で音を表現しているという部分では同じですね。
●「ピアノの森」1シーン
「ピアノの森」という漫画。 pic.twitter.com/GjtzKBZMW7
— hitomi(妃美) (@hitomi269) October 21, 2018
ただ、これに関してはピアノという題材を扱っている以上、多少なりとも似ている部分があるのはやむ得ないでしょう。
まとめ
今回は、
●「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」は似ているの?
●「ピアノの森」(一色まこと)のあらすじ・ネタバレは?
●「蜜蜂と遠雷」と「ピアノの森」は似ているのか?パクリかどうか内容比較
特に似ているといわれ下記の内容を整理していくと・・・
・主人公の設定:似ている(2つの作品のファンが読めばがっかりするレベル)
・主人公の師匠:人物は似てないが、設定はほぼ同じ
・登場人物の再会:該当する人物は違うが、再会のパターンが似ている
・音楽の表現方法:音楽を表現するという意味では似るのはやむを得ない
結論をまとめると、著作権侵害にはならないけど、アイディアに似ている部分がある、というものです。
実際、「蜜蜂と遠雷」は直木賞を受賞した素晴らしい作品であり、あくまでもピアノを題材にした際に類似している部分があったという程度と捉えても良いかもしれません。
これらについてまとめました。
以上となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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