嵐・二宮和也さんが主演するドラマ「ブラックペアン」。

原作は「チーム・バチスタ栄光」の著者である作家・海堂尊さんの小説で、タイトルは「ブラックペアン1988」です。

海堂さんご自身が医師ということもあり、医療現場でのリアルな光景や問題点が鮮明に描かれています。

ドラマはTBSより2018年から放送が決まっており、楽しみにしているファンも多いことでしょう。

個人的に気になる点は、原作・ドラマでのあらすじにモデルはあるのかという点です。

また、実話であった話をフィクションにしている可能性はあるのでしょうか。

小説での実際に起きた事件や人物をオマージュにして物語を記載していくケースもあります。

ブラックペアンではクライマックスを飾る「ペアン置き忘れ事件」がかなりのポイントが、こちらも似たような事件などはあったのでしょうか。

ブラックペアンに元ネタ、モデル、実話などはあるのか?気になる点ですね。

その他にも、物語の舞台となる「東城大学医学部付属病院」のモデルについても調べてみました!
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ブラックペアンのストーリー

ブラックペアン・あらすじとネタバレ

ブラックペアンのストーリーから記載していきます。

二宮さんが演じるの天才的な手技を持つ外科医・渡海征司郎。

渡海は腕は一流ながらも、所属する東城大学医学部付属病院では、入局して10年間も「ヒラ」を務めているのです。

ヒラの理由は(原作小説では)出世欲がない本人が拒んでいるからであり、原作では医局のカンファレンスに顔を出さない、オペ室の控え室のこもっているなどかなりアウトローな役柄です。

簡単に言えば、「手術が一番上手いんだから、何やってもいいでしょ」という考えを見事に体現しています。

ドラマはこれから放送されますので、テレビ用に若干のキャラクター修正があると思いますが、原作では非常にダークな面が描かれていますね。

二宮が演じるのは、天才的な手技(縫合技術)を持つ外科医・渡海征司郎。大学病院にいながら出世に興味のない一匹狼で、万年ヒラの医局員だ。手術成功率100%を誇る孤高の天才外科医である一方、その傲慢な性格と言動が周囲との軋轢を常に生んでいる。同僚からは「患者を生かし、医者を殺す」と評される、通称“オペ室の悪魔”。

そんな渡海がメスを握る東城大学医学部付属病院に、他大学出身の新任の医師によって「外科医の腕を全く必要としない」手術用最新医療器具が持ち込まれ、新しい手術の形が導入されようとする。技量に左右されず誰でも扱えるという心臓手術用の医療機器に、外科医として手術の工程の一部を本当に任せることが出来るのか? この技術導入に裏はないのか・・・? と疑い、反対する渡海の闘いが始まる。

そしてこの闘いは技術導入だけの問題にとどまらず、病院・研究室と製薬会社、医療機器メーカー、そして厚生労働省などとの癒着問題にまで発展していく。外科医としてのプライドを守ろうとする渡海が嫉妬渦巻く大学病院という巨大な組織に真っ向から立ち向かい、新技術導入を巡る様々な不正や隠された過去を暴いていく、痛快な医療エンターテインメントドラマだ。

医療ドラマで描かれる多くが「人命救助」「研修医の成長」「医学の進歩」など割とオーソドックスなテイストが多い印象があります。

ただ、ドラマのブラックペアンでは、技術導入の是非をテーマに医局での争いが描かれているということでしょう。

原作では、タイトルにあるように1988年とかなり昔の設定になっていますが、ドラマではいつの時代が描かれているのかは物語を見てから判明するでしょう。

ブラックペアン・原作との違い

原作を読んだ方であれば、ドラマと原作が大きく異なるテイストであることに気づくはずです。

まず、原作では渡海は主人公でありません。

原作での主人公は「世良雅志」という入局一年目の研修医です。

物語の大半は世良の力が及ばない、技術、機器、医局の構想などの展開で進みますので、あくまでも語り手の視点という意味です。

しかし、医局や医師を知らないという意味では入局一年目の世良は読者に一番近い存在であり、物語を理解する上で非常に感情移入しやすいキャラクターであることは間違いありません。

ドラマでは世良は竹内涼真さんが演じています。

さらに、前述のドラマのあらすじを見ると、

そんな渡海がメスを握る東城大学医学部付属病院に、他大学出身の新任の医師によって「外科医の腕を全く必要としない」手術用最新医療器具が持ち込まれ、新しい手術の形が導入されようとする。

技量に左右されず誰でも扱えるという心臓手術用の医療機器に、外科医として手術の工程の一部を本当に任せることが出来るのか? この技術導入に裏はないのか・・・? と疑い、反対する渡海の闘いが始まる。

と記載されています。

この文章を見ると、何も知らない読書は、ヒラながらも技術がピカイチの渡海のキャラクターが「善」であり、技術導入を図ろうとする他大学出身の新任医師を「悪」と見るのではないでしょうか。

渡海がその技術導入を疑ってかかり、問題点を指摘し、反対する戦いと考えるでしょう。

しかし、原作では全くそのような要素はありません。

原作では渡海はあくまでも自身の腕のみを信じ、その技術をオペ室で振る舞えるか否かのみを判断するアウトローのキャラクターです。

外科医の技術を考え「外科医として手術の工程の一部を本当に任せることが出来るのか? この技術導入に裏はないのか・・・? 」と考える人物でありません。

むしろ、新技術を持ち込もうとする他大学出身の新任医師、高階権太(役・小泉孝太郎)の方が性格が明るく、かなり自信家なところはありますが、医局の未来を考えている人物に映ります。

実際、原作では手術を失敗した世良を励まして現場復帰させたりと、かなり熱いキャラクターです。

ドラマでは渡海を中心に描かれていますが、予告されているあらすじを見る限り、大幅に原作と内容が異なっている可能性はありますね。

ブラックペアンの元ネタ・実話の存在

元ネタと実話はあるのか?

[the_ad id="5494"] さて、気になるのは、ブラックペアンに「元ネタ」「実話」があるのかという点です。

原作で物語のキーになるのは、高階が東城大学医学部付属病院持ち込んできた「スナイプAZ1988」でしょう。

物語の終盤では話が変わっていきますが、序盤から中盤にかけて物語が大きく展開するのは、高階が使用する「スナイプAZ1988」と呼ばれる自動吻合機の導入提案が発端となります。

これは従来の外科医の手技を必要とせず、多くの医師が自動で吻合ができる銃のような器械です。

吻合とは、分離している血管や神経をつなぐことであり、ブラックペアンでメインとなる食道癌の手術では、小腸と食道をつなぐ際に必要になります。

しかしながら、調べていくと「スナイプ」という器械は実在はしていないようです。

あくまで物語上で使用された代物とのことでした。

ただ、吻合器自体は物語が始まる1988年には存在しており、1958年に泉工医科工業というメーカーが世界で初めて自動吻合器を開発しています。

物語では、高階が自動吻合器を導入することで多くの医者が食道癌に携わることができると主張する一方、佐伯をはじめとする古参派が反対して導入にあたり無理難題を押し付けていきます。

原作では、渡海はスナイプ導入の有無について激しい議論等を交わすことはなく、独自で調べあげていくというスタンスでした。

原作を読むとわかりますが、渡海は自身の手技を高める、もしくは披露できることに生きがいを感じており、導入についてはあまり関心がない様子でしたね。

ドラマではあえて渡海を主人公にしていると思いますので(原作では研修医の世良が主人公)、渡海もスナイプの「反対派」として活動をしていくのでしょうか。

東城大学医学部付属病院のモデル

ブラックペアンの物語は、原作ではそのまま同じ海堂さんの作品である小説「チーム・バチスタの栄光」につながっていきます。

チームバチスタの20年前の話がブラックペアンであり、何名かは登場人物がかぶっていますね。

どちらも物語の舞台は「東城大学医学部付属病院」。

こちらは実際にモデルとされている大学病院はあるのでしょうか。

まず、同病院が存在する場所ですが、「桜宮市」と原作では表示されていますね。

ブラックペアンの途中で世良と看護師の花房がデートするシーンがありますが、会話の中でも「桜宮駅」「桜宮湾」と記載がありますね。

実際に桜宮市という場所はなく、あくまでも海堂さんのオリジナルの架空都市のようですね。

ただ、東城大学医学部付属は実在する病院をモデルにしているかもしれません。

原作の物語上ではあまり探ることができませんでした。

ドラマではロケ地として、千葉県の東金に位置る「東千葉メディカルセンター」が使用されています。

エキストラでの応募があったようです。

海堂さんが千葉大学医学部出身のようで、そのつながりもあったのかもしれません。

ブラックペアンのペアン置き忘れ事件

ペアン置き忘れ事件とは?

原作では渡海の過去や経歴についても触れられていますが、密接に関わってくるのが「ペアン置き忘れの事件」です。

以下はネタバレになりますので、自ら本で読みたいという方はと飛ばしてください。

まず、「ペアン置き忘れ事件」で外せない人物がいます。

同じ東城大学医学部付属病、総合外科の佐伯清剛教授です。

佐伯教授は食道癌の手術で国内トップクラスの技術を持っており、医学界から注目されている人物です。

佐伯教授は、物語に登場する渡海の父・一郎は同じ医師でありお互いが親友と呼べる存在でした。

佐伯教授は外科医、一郎は内科医です。

しかし、原作の物語上から17年前に関係を揺るがす大きな事件が起こります。

この事件こそが「ブラックペアン」のタイトルを明らかにしていきます。

佐伯が海外に出張している時、緊急外来が重なり一郎が飯沼という患者の対応をしました。

一郎はレントゲンでその患者の体を見たところ、X線写真ではっきりと腹部にペアンが置き忘れてありました。

当然、ペアンの置き忘れは大問題です。

一郎が手術履歴を見ると直近の手術を担当したのは佐伯教授でした。

一郎は海外にいる佐伯教授にすぐ報告して再手術の連絡を入れるも、佐伯教授からの電報には、

「飯沼氏のペアン摘出すべからず」

の一言。

結果的にペアンの摘出は叶わず、むしろ、ペアンの問題点を指摘した一郎が医局の権力争いに飲まれて県外の病院に飛ばれされる始末。(一郎は物語上ではすでに亡くなっています)

当然、息子である渡海からすれば、善良な医師である父の指摘をないがしろにし、県外に飛ばした当人(実際には当時の佐伯にそこまでの力はないと予想されます)である佐伯に「恨み」があるのは間違いありません。

しかし、患者である飯沼の体に埋め込まれたペアンは手術ミスではなく、しっかりとした理由があって放置されていたのです。

その理由を佐伯教授が語りだし、物語はクライマックスを迎えます。

渡海は佐伯教授が直々に育て上げた外科医であり、教授の後継者とも医局内では言われています。

佐伯教授がなぜ渡海を育てあげたのかも、原作では記載されています。

患者は最後はどうなる?

前述した通り、佐伯教授は渡海の父・一郎が指摘した患者(飯沼)の体内ペアンを放置していました。

それも17年間も、です。

一郎は最終的に医局からははじき出されてしまい、最後は離島の医者を経て亡くなっています。

息子の渡海からすれば、佐伯教授は憎き存在でしょう。

原作では、佐伯教授が出張しているのを見計らい、渡海が飯沼の体を再検査して、再手術に踏み切ろうとします。

理由は当然、ペアンを取り除き、佐伯教授に手術ミスでペアンを放置したことを認めさせるためです。

実力者である高階と組んだ渡海は飯沼の体からペアンを取り除くことに成功します。

しかし、ペアンを取り除いた瞬間、患者の仙骨前面静脈叢から大量に出血が始まりました。

佐伯教授が患者(飯沼)の体内にペアンを放置していたのには、確固たる理由がありました。

オペの途中で出張から急遽、大学病院に戻った佐伯教授もオペに参加し、ペアンの謎を説明し始めます。

「お前の父、渡海一郎との一件は不幸な行き違いだった。父、渡海一郎には本当に申し訳ないことをした」

「最初で最後の機会だから、聞け。私がかつてこの患者を手術したとき、仙骨前面の静脈叢からの出血を止められず、やむを得ずペアンを体内に留置したまま閉腹した。置き忘れではない。外せなかったんだ。

そのことを患者と家族に告げるべきだった。だが素人に、必然の留置だったと納得させることができただろうか。私には自信がなかった。仕方なく、家族と本人に状態を伏せて退院させた。きちんとフォローするつもりで、な。ところがそこで行き違いの悲劇が起こった」

佐伯教授が渡海の父・一郎に「飯沼氏のペアン摘出すべからず」と電報を打った理由は明らかで、ペアンを取り除くと出血ができなくなるからでした。

しかし、当時、佐伯教授は海外に出張しており時間がなく、急ぎで結論だけを述べていたということです。

親友の一郎であれば帰国後に説明してことが足りるだろうと。

「それからだ。私がブラックペアンを特注し、手術器具に入れるようになったのは。ブラックペアンは私自身への戒めだ。今日、ここまでこれたのは、このペアンが心の支えであったからだ。そして、ブラックペアンを術野に使う時がきたら、それは私が外科医を辞める時だ、と覚悟していた」

佐伯教授のブラックペアンは特注であり、カーボン製。

火葬後に燃えて後には残らない仕様です。

常に佐伯教授が特注のブラックペアンを使用していた理由は、いつ飯沼さんが緊急外来に来ても大丈夫のように備えていたということでしょう。

そして、なぜ佐伯教授が渡海にを育てあげたかの理由も明らかになります。

「私はせめて罪滅ぼしがしたかった。息子であるお前を引き取り、私の手で一人前の外科医に育てることが、せめてもの罪滅ぼしではないかと考えたんだ。だがだからといってお前を特別扱いしたわけではない。

お前は計り知れない外科の天分を持ち合わせていた。私はむしろ技術の継承以外の部分で、お前に芳しくない影響を残しただけのような気がする。お前を外科の正道に導けなかった。それだけが心残りだ」

ペアンの置き忘れの是非については定かではありませんが、それを患者に説明していないのは問題でしょう。

今ならマスコミがかなり食いつく話題ではないでしょうか。

一方で、当時の医学ではその方法でしか解決できなかったかもしれず、非常に難しい問題ですね。

ドラマではどのように描いていくのか、気になるところです。

まとめ

今回は、

●ブラックペアンのストーリー

●ブラックペアンの元ネタ・実話の存在

●ブラックペアンのペアン置き忘れ事件

これらについてまとめました。

以上となります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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