映画『竜とそばかすの姫』の最後で、クジラが鈴を助けた理由を解説します。
細田守監督作品では「クジラ」がよく登場しますが、今作で登場した意味も考察しています。
本記事では映画の内容をもとに。細かい設定は原作小説も参考・引用しています。
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この記事の目次
【竜とそばかすの姫】クジラの登場シーン
\6月24日は #ドレミの日🎵/
音階にドレミと名前を付け、さらに楽譜を発明した日と言われています。
劇中では、メインテーマ「U」以外にもベルの魅力いっぱいの歌声を聞くことができます。#竜とそばかすの姫#7月16日公開#細田守#スタジオ地図 pic.twitter.com/D5upC7HOIC
— 『竜とそばかすの姫』細田守最新作@スタジオ地図 (@studio_chizu) June 24, 2021
映画『竜とそばかすの姫』の〈U〉では、クジラが登場します。
クジラが登場するのは大きくわけて、映画の冒頭と最後の2回です。
冒頭のベルが歌うシーン
映画の冒頭では〈U〉の世界が映し出され、ベルがクジラの上でダンスをしながら歌っています。
鈴が〈U〉に登録する前の「夢」を描いたシーンで、ベルになる前のプロローグといえるでしょう。
映画ではこのシーンの後に鈴がお布団から飛び起きて、急いでに学校に登校しています。
映画の冒頭のシーンは原作小説では下記のように描かれています。
その歌は、壮大で、かつ繊細、親密で、かつ力強い。
思わず、引き込まれてしまう。
「あそこで」
誰かが叫んだ。大勢のAsたちの視線の先が、一点に集まってゆく。クジラ。
さかさまのビル群の間を無敵のスピーカーで着飾った巨大なクジラが、ゆったりと遊泳している。
その鼻先に、深紅のドレスを着た、小さな人影が見える。
歌はそこから聞こえてくるようだ。クジラは身につけた無数のスピーカーから、爆音を鳴り響かせる。
彼女はクジラの鼻先に仁王立ちし、伴奏の音圧に負けない圧倒的な声量で歌い続ける。小説『竜とそばかすの姫』P8
クジラの上に乗っている「深紅のドレスを着た、小さな人影」はベルをさしています。
最後に鈴が歌うシーン
映画の最後でも、クジラが登場しています。
ベルが恵とコンタクトをとるため、鈴として歌うことを決意します
ジャスティンからわざとアンべイルされた直後、クジラが登場して鈴を歌えるようにサポートするのです。
無数のスピーカーで着飾った巨大なクジラが、金色の海原をゆったりと浮上し、大きな波顔を立てた。
オオオオオオオオ……!!
クジラは、まるで一緒に歌うように、大きな口を開けた。
ブシュウゥッ、と高らかに吹き出した潮は、花火のようにキラキラと輝いた。私は巨大クジラの鼻先に掬いあげられた。
そこは、かつてベルが赤いドレスを見に纏い、世界中に向けて堂々と歌っていた場所だった。同じ場所に、私は、生身にで立つ。
小説『竜とそばかすの姫』P294
このシーンは冒頭の鈴の「夢」とリンクしていて、伏線を回収しています。
【竜とそばかすの姫】クジラの正体は?
『竜とそばかすの姫』のクジラの正体を考察します。
クジラの正体は映画でも原作でも明らかにされていませんが、クジラは〈U〉の守り神と考えて良いでしょう。
〈U〉にはオリジンがいる〈As〉、いない〈As〉の2種類がいます。基本はオリジンがいる、つまりは〈As〉は実世界で誰かが動かしているということです。
しかし、このクジラの〈As〉は何も言葉も発していないどころか、アンベイルされたの鈴を鼻先に乗せて歌わせています。
そもそもアンベイルされた〈As〉は〈U〉では生きることはできないため、鈴は消えていくはずですが、それも防がれています。
クジラが〈U〉の守り神と仮定すれば、鈴が消えていないのはクジラが守ったから、そして、そのまま鈴を自分の身体に乗せて歌わせたというストーリーにも納得がいきます。
【竜とそばかすの姫】クジラが鈴を助けた理由
[the_ad id="5494"] 映画の最後で登場したクジラは、アンベイルされた鈴(ベル)を助けるように歌う場所を確保します。なぜ、クジラは鈴をサポートしたのでしょうか。理由は大きくわけて下記3点だと考えられます。
・鈴の歌で〈U〉が一体となった
・アンベイルされる存在ではない
・鈴の歌が竜を救えると考えた
それぞれについて考察していきます。
鈴の歌で〈U〉が一体となった
1つ目の理由は、鈴の歌で〈U〉が一体となったからでしょう。
ベルではなく鈴として歌う姿に皆が共感し、その歌声に〈As〉が感動を覚えました。
途中で歌声が途切れた後も、〈As〉のみんな「ラララララ」と声をつむぎ、最終的に何億人の合唱が始まりました。
〈As〉のみんなが竜を助ける鈴の姿に感動し、〈U〉が鈴の歌を通して一つになっていきました。
その光景を見た"守り神"はアンベイルされた鈴をそのままで〈U〉に残し、竜を助けるために歌わせたのではないでしょうか。
アンベイルされる存在ではない
2つ目の理由は、そもそもベルはアンベイルされる存在ではなかった点です。
アンベイルとはオリジンから〈As〉への生体登録を停止し、本来の姿(ベルであれば鈴)を暴いてしまう行為のことです。
〈U〉でアンベイルができるのは創設者である5人の賢者「Voices」とジャスティンです。
ただ、アンベイル自体は〈U〉の登録下においてなされるものであるため、創設者や管理者が許可をしなければ実施されないものと考えることができます。
そう考えると、ベルの存在は〈U〉に悪影響を与えているわけではなく、アンベイルの光を受けた後も後も鈴として〈U〉に残っているということでしょう。またクジラの上に乗った鈴は、歌いながらベルの容姿に戻っています。
"守り神"のクジラだからこそ、不当なアンベイルは許可せず、鈴に歌う場所を確保したのだと思います。
鈴の歌が竜を救えると考えた
最後は、鈴の歌が竜を救えると考えたからでしょう。
竜は〈U〉では凶暴な存在であり、多くのアカウントが迷惑していたことは確かです。
しかし、実際にはオリジンの恵が父親から虐待を受けてた経緯があり、その鬱憤が暴れる〈As〉を生成した悲しい経緯がありました。
ベルは竜を繋がっている数少ない〈As〉であり、ベルの力なしに竜を助けることは困難です。
竜を助け出せば〈U〉の秩序も守られるため、多くの〈As〉が安心して過ごすことができます。
だからこそ、"守り神"のクジラは歌う鈴をサポートすることで、竜を助けようと考えたのではないでしょうか。
【竜とそばかすの姫】クジラはなぜ登場したか
最後に、なぜ『竜とそばかすの姫』でクジラが登場するのかを考察します。
結論から説明すると、細田守監督の作品には必ずといっていいほど、クジラが登場しています。
クジラは夢占いでは、「大きな原動力や影響力」を象徴しています。
ファンタジーの世界では欠かせない物語を推進する力として、クジラが描かれていると考えられます。
また、〈U〉の世界の「原動力や影響力」と考えれば、"守り神"と考えてもおかしくはありません。
サマーウォーズと同じ意味合い
同じ細田守作品の映画『サマーウォーズ』でも、インターネット空間「OZ」の守り神としてクジラが登場しています。
『サマーウォーズ』でも、クジラはラブマシーンに立ち向かう夏希に味方し、レアアイテムを授けています。
『竜とそばかすの姫』では守り神とは明記されていないものの、鈴のピンチを救う救世主として登場しています。
あの状況下で通常の〈As〉が手助けするとも考えられず、創設者や管理者が生成した特別な存在と考えられるでしょう。
まとめ
今回は、
●【竜とそばかすの姫】クジラの登場シーン
●【竜とそばかすの姫】クジラの正体は?
●【竜とそばかすの姫】クジラが鈴を助けた理由
●【竜とそばかすの姫】クジラはなぜ登場したか
これらについてまとめました。
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