映画『竜とそばかすの姫』で恵が竜となる理由を考察します。
恵は実世界では14歳の少年にもかかわらず、なぜ〈U〉最強のモンスター〈As〉となったのでしょうか。
強さと父親からの虐待の意味を踏まえながら、映画と原作小説の内容を踏まえて考察していきます。
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この記事の目次
【竜とそばかすの姫】恵は何者?
#Uの世界
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「君は何もわかっていない」
彼の<秘密>とはー#竜とそばかすの姫#7月16日公開#細田守#スタジオ地図 pic.twitter.com/SAyjUge3v4— 『竜とそばかすの姫』細田守最新作@スタジオ地図 (@studio_chizu) June 8, 2021
『竜とそばかすの姫』では竜の正体(オリジン)は日本に住む14歳少年、恵(けい)です。
恵は東京都多摩市に弟の知(とも)と父親と3人で暮らしています。母親はすでに他界しています。
父親はかなり凶暴な性格あり、自分の思い通りにならないと物を壊したり、恵と知に暴言をはき続けます。
父親の言動は幼児虐待とも言えるほど恐ろしく、恵は知をかばって父親から叱られる日々を過ごしていました。
【竜とそばかすの姫】恵はなぜ竜になった?
『竜とそばかすの姫』で恵はなぜ竜となったのでしょうか。
その理由を映画と原作小説の内容を踏まえて考察します。
恵が〈U〉の世界で竜となったのは下記3つの理由からと思われます。
・知を守りたい想い
・理解されない孤独
それでは、それぞれについて考察します。
恵はもともと強い少年
1つの目の理由は「恵はもともと強い少年」だったということです。
〈U〉のアバターである〈As〉はボディシェアリング機能が備わっているため、実世界の人物の能力を密接しています。
また、〈U〉のボディシェアリング技術では、その人の隠された能力を無理やり引っ張ります。
つまり、恵はもともと空手や格闘技などを習っていて強い少年である、もしくは、強くなる素質のある少年である、ということが考察できます。
恵が父親と過ごす環境も大きく影響されていて、ヒロちゃん下記のように分析しています。
「竜がなぜ強いのか?『U』のボディシェアリング技術は隠されたもう1人の自分を明らかにする装置なら、この抑圧された状況こそが強さに接続されたんだ。ベルになった鈴と同じように……」
小説『竜とそばかすの姫』P257
また、〈As〉のイメージは最初の顔写真で決まりますが、最終的な〈As〉の容姿は〈U〉側に委ねられています。
古来から強いと言い伝えられている竜になった理由は、恵にそれ相応の強さが備わっているからでしょう。
知を守りたい想い
2つ目の理由は「知を守りたい想い」が、竜という最強の怪獣にしたと思います。
恵は父親の暴言から知を守るため、「知は悪くない」と父に背を向けて暴言を聞き続けていました。弟の守るために必死だったのです。
恵が仮にもし父親を倒すことができれていれば、その場で倒しているでしょう。しかし、腕力がある父に逆らうことはできません。
恵の気持ちを察すると、"とにかく父親を倒して知と一緒に楽しく暮らしたい"と考えていたと思います。
そのためには、とにかく強くなる必要があり、そんな想いを抱きながら日々過ごしていたのではないでしょうか。
恵が強くなりたいと日々願っているからこそ、その想いが具現化されて最強の〈As〉が生まれたと考察できます。
解決されない現実
3つ目の理由は「解決されない現実」です。
恵は父親から虐待されていることを、周囲に相談していました。しかし、その度に有耶無耶にされ、解決されないまま今に至っています。
恵は鈴に対して下記のような嘆いていました。
助ける。助ける。助ける。今まで何度も聞いた。
お父さんとよく話します。お父様とよく話し合いました。お父様はよくわかってくださいました。
でも、どうにもならなかった。
小説『竜とそばかすの姫』P261
助ける。助ける。助ける。今まで何度も聞いた。
お父さんとよく話します。お父様とよく話し合いました。お父様はよくわかってくださいました。
でも、どうにもならなかった。
小説『竜とそばかすの姫』P261
誰にも理解されない現状、相談しても何もしてくれない大人に、恵はかなりのストレスを溜めていたのでしょう。
おそらく、そのストレスが溜まりに溜まったからこそ、〈U〉ではさまざまな対戦相手を容赦なく攻撃していたと思います。
強くなりたいという想いと、行き場のないストレスが、竜というモンスター〈As〉の原動力になっていったと考察できます。
【竜とそばかすの姫】竜が強い理由
[the_ad id="5494"] 『竜とそばかすの姫』の竜が強い理由を考察します。竜の強さは、恵が竜となった理由とほぼ同じでしょう。
具体的には、
・現実世界で強くなりたいと願っている
・ストレスをぶつけないと自我を保てないほど苦しい状況
という点です。
竜は物語本編の7ヶ月前に〈U〉の道場に突然登場し、以降は369勝3敗2引き分けとほぼ無敵の強さを誇っています。
竜のファイトスタイルはとにかく凶暴であり、対戦者の1人は「執拗に攻め立てる。性格最悪」と語っています。
竜は強さと凶暴さを兼ね備えていますが、それは実世界での恵の心情とリンクしているからでしょう。
恵は虐待を繰り返す父親をとにかく倒したい、ねがわくば殺したいと考えていたのかもしれません。
「殺す」は言い過ぎかもしれないですが、それほど父親を憎んでいたことは間違いないでしょう。
〈U〉の世界相手を完膚なきまでにボコボコにしていのは、父親に対する恵のやり場のない感情が発散されていたからだと考察できます。
【竜とそばかすの姫】竜が負けた相手
竜は〈U〉の世界では最強ですが、過去に3回だけ敗戦しています。
敗戦した相手は2名まではわかっていて「ロサンゼルスの青年」「モスクワの30代女性」「天使型As」です。
ヒロちゃんが勝因について質問すると、「突然、投げやりになった」(ロサンゼルスの青年)、「別のことに気をとられているみたいだった」(モスクワの30代女性)と語っています。
「天使型As」は何も言わずにその場を去ってしまいました。
これは考察ですが、竜が対戦相手に負けた時、実世界の恵はお父さんに気を取られていたのでしょう。
対戦相手中にお父さんが大声を出した、お父さんがいきなり仕事場から帰ってきたなど、恵にとって予期せぬ事態があったため、〈As〉の操作がおそろかになったのだと思われます。
竜に勝った天使Asのオリジンは、恵の弟の知(とも)だと思われます。ネタバレで考察してみました。
まとめ
今回は、
●【竜とそばかすの姫】恵は何者?
●【竜とそばかすの姫】恵はなぜ竜になった?
●【竜とそばかすの姫】竜が強い理由
●【竜とそばかすの姫】竜が負けた相手
これらについてまとめました。
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