2018年10月18日に公開の映画「楽園」。
綾野剛さん主演であり、原作は芥川賞作家の吉田修一さんです。
吉田さんの「犯罪小説集」という短編小説の物語が原作となっており、作品を読んでいくと実際に起きた事件をモデルにしていることがわかります。
一体、モデル・元ネタの事件はどんな内容なのでしょうか。
今回は、映画「楽園」のモデルになった事件について深掘りをしていきたいと思います。
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この記事の目次
映画「楽園」は実話の事件?
映画「楽園」は、吉田修一さんの小説「犯罪小説集」の話が原作となっています。
「犯罪小説集」には全部で5つの物語が掲載されていますが、そのうち映画「楽園」の原作となったのが下記2つの物語です。
・「青田Y字路」・・・幼女誘拐事件。田舎で小学生の少女が失踪し、10年後に再び同じ事件が起こります。
・「万屋前次郎」・・・大量殺人事件。山口の集落の村八分によって起きた前代未聞の凶悪事件です。
2つの事件はそれぞれバラバラの話であり、それぞれに実話であるモデル・元ネタが存在しています。
映画「楽園」では2つの物語を上手くミックスさせて描いていると思います。
映画「楽園」モデルの実話についてネタバレ解説
映画「楽園」のモデルとなった実話について記載していきます。
先ほどの2つの短編小説でモデルとなった実在の事件は下記にといわれています。
・青田Y字路 : 北関東連続幼女誘拐殺人事件(足利事件)/1979〜1996年
・万屋前次郎 : 山口連続殺人放火事件/2013年
ともに非常に大きな事件であり、ニュースでも連日報道されていました。
北関東連続幼女誘拐殺人事件は1979年〜1996年と長きに渡り栃木県、群馬県で発生した事件です。
この間に発生した少なくとも4つの事件が同一犯ではないかといわれていますが、今だに犯人は特定されておらず、事件の真相は明らかになっていません。
上記で(足利事件)とカッコ書きで記載したのは、1990年には栃木県足利市の事件で4歳の幼女が行方不明となる事件が発生し、翌1991年に被疑者として男性が逮捕→起訴されました。
足利市の事件は1979年から発生した事件に似通っていたことから、一連の事件の犯人でないかとも疑われていたのです。
しかし、その男性は事件には無関係であることが起訴後に証明され、2010年に再審の判決で無罪が言い渡されました。
山口連続殺人放火事件は、2013年7月21日に山口県周南市金峰の集落で発生した連続殺人・放火事件です。
この事件は犯人も逮捕されており、すでに解決済みの事件となっています。
犯人には2019年には極刑が言い渡されています。
「青田Y字路」モデルの実話(事件)は?
[the_ad id="5494"] 「青田Y字路」のモデルとなった実際の事件、北関東連続幼女誘拐殺人事件について記載していきます。北関東連続幼女誘拐殺人事件は、栃木県・群馬県で1979年以降に発生した4件の女児誘拐殺人事件と関連の疑いがある1件の女児連れ去り事件のことをさします。
この5つの事件は栃木県・群馬県の県境で半径20キロ以内で発生しており、どの事件も群馬県太田市ないし栃木県足利市のどちらかで発生しています。
事件発生日が古い順から1979年、1984年、1987年、1990年であり、そのうち1990年の事件は足利事件として冤罪をうんでしまいました。
1979年、1984年、1987年、1990年の事件は女児は遺体として発見されています。
1996年にも4歳女児がパチンコ店から連れ去られていますが、こちらは女児の行方が発見されていないため、失踪事件となっています。
この5つの事件はいずれも同一犯による犯行である可能性が高く、一連の事件を「北関東連続幼女誘拐殺人事件」としています。
「青田Y字路」の小説を読んでみると、
・同一の地域でほぼ同じ手口で犯行が繰り返される
・女児が被害者として描かれている
・犯人は特定できず。未解決
・冤罪の要素も記載されている(=足利事件を彷彿とさせる)
という点が描かれています。
「青田Y字路」は小説であり完全なフィクションではありますが、上記の通り似通っている点が多数あります。
「万屋善次郎」モデルの実話(事件)は?
「万屋善次郎」のモデルとなった実際の事件、山口連続殺人放火事件について記載していきます。
この事件は2013年7月21日に山口県周南市金峰の集落で発生した連続殺人・放火事件であり、すでに犯人は逮捕されて刑も確定しています。
犯人は当時63歳の住民の男性でした。
この事件は山口県の8世帯12人の集落で5人の高齢者が亡くなっています。
5人の被害者は鈍器よる殴打により亡くなっており、その後犯人が自宅を放火しています。
放火の件数は2軒であり、各宅から3人遺体、翌日に2人の遺体も別場所で発見されました。
犯人が逮捕されたのは火災発見から6日後の2013年7月26日。
郷公民館から約1キロメートル離れた山道に、犯人と思しき男性が下着姿・裸足で座っているのを捜索中の県警機動隊員が発見し、のちの事情聴取により明らかになりました。
捜査員の人数は最大で400人体制にもなった事件であり、当時は連日のようにニュースで報道されていました。
加害者の男性には「妄想性障害」があると医師により判断されました。
犯行に及んだ動機は、犯人の「妄想性障害」に思い込みであり、これにより自身の悪口を言われていると感じていたことによります。
担当した当時の医師も「「被告人Hは妄想性障害の影響により『地域住民からの挑発・噂があった』と勝手に思い込み、被害感情を募らせて報復のために事件を起こした」と証言をしています。(wikipediaより)
加害者の男性は中学卒業後に状況し、30代はタイル職人として神奈川県川崎市で暮らしていました。
当時は左官職人として働いており、その様子はテレビや新聞に取り上げられるほどの人材でした。
44歳で地元に帰郷して両親の介護あたっている中で周囲の人間とトラブルになり、このような事件を招いてしまいました。
同じ山口県出身で人事コンサルタントで作家の城繁幸さんも、
「濃密な人間関係の中にいやでも引きずり出されたものと思われる。ひょっとすると、そういう関係で何らかのトラブルがあったのかもしれない」
「無縁社会のリスクが孤独死だとすれば、“有縁社会”のリスクは、こうした人間関係のトラブルと言える」
と語っており、事件が起きた背景には人間関係の要素が強いと分析をしています。
「万屋善次郎」は完全なフィクションの物語ではありますが、
・田舎の集落を舞台に描かれていること
・村おこしを巡る村民の対立
・トラブルを抱えた犯人の精神状態
など、事件を彷彿とさせる共通点が多いです。
他にも、「飼い犬の臭いで周辺住民とトラブルになった」と小説に記載がありますが、こちらも実際の事件と似せている部分であると多います。
映画「楽園」と実話事件の関連は?
最後に、映画「楽園」のあらすじについて深掘りしていきます。
あらすじでは、
ある夏の日、青田に囲まれたY字路で少女誘拐事件が起こる。
事件は解決されないまま、直前まで被害者と一緒にいた親友・紡は心に深い傷を負う。
それから12年後、かつてと同じY字路で再び少女が行方不明になり、町営住宅で暮らす孤独な男・豪士が犯人として疑われる。
追い詰められた豪士は街へと逃れ、そこである行動に出る。
さらに1年後、Y字路に続く限界集落で愛犬と暮らす養蜂家の善次郎は、村おこし事業を巡る話のこじれから村八分にされてしまう。追い込まれた善次郎は、ある事件を起こす。
と記載されています。
前半の「孤独な男・豪士が犯人として疑われる」事件が、青田Y字路(≒北関東連続幼女誘拐殺人事件)でしょう。
続いて、養蜂家の善次郎が引き起こす事件が、万屋前次郎(≒山口連続殺人放火事件)だと思われます。
1つの目の事件で疑われる男性、郷士を綾野剛さんが演じています。
2つ目の事件は佐藤浩市さんが事件を引き起こすようです。
杉咲花さんは事件にさらわれてしまった被害者と直前まで一緒にした親友・紡です。
2つの事件はお互いに独立している内容ですが、物語のクライマックスでどこかで繋がっていくのではないかと予想されます。
まとめ
今回は、
●楽園【映画】は実話の事件?
●楽園【映画】モデルの実話についてネタバレ解説
●「青田Y字路」モデルの実話(事件)は?
●「万屋善次郎」モデルの実話(事件)は?
●映画「楽園」と実話事件の関連は?
これらについてまとめました。
以上となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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