2012年5月25日に公開された映画「メン・イン・ブラック3」。

エージェントK(トミー・リー・ジョーンズ)とエージェントJ(ウィル・スミス)の集大成の作品であり、2人の関係性が深くわかる物語でした。

作中ではボリスが過去に戻ったことでKが死亡し、MIB全員の記憶(歴史)が書き換えられていました。

しかし、その中でもJだけにはKの記憶が残り続けており、周囲との認識の差に戸惑いを隠せていませんでしたね。

今回は、映画「メン・イン・ブラック3」でエージェントJだけKの記憶が残る理由について深掘りをしていきます。
[the_ad id="5800"] [the_ad id="5494"]

映画「メン・イン・ブラック3」エージェントJだけKの記憶がそのまま残っている

映画「メン・イン・ブラック3」では、刑務所から脱獄したボリスが過去に行きKを殺害します。

その殺害が原因で、Kはこの世から消えてしまった・・・というのが物語の転機になります。

KとJがボリスにあった翌朝には、Kがこの世から消えており、MIBの記録でKは1969年に死亡していたことがわかります。

しかし、JだけはKの記憶がそのまま残っており、出勤直後から大きな違和感を抱くシーンが続きます。

本来パートナーのKの存在を誰も知らず、なぜかAAというエージェントとペアを組んでいることに。

オフィス内でOに出会うも、Kの存在は認識しておらず、すでに過去に死んだ人として紹介されてしまったのです。

J「Kだよ」

O「Kって誰?」

J「あなたまで」

O「Kって誰なの?」

J「パートナーだよ」

(略)

O「Kの胸像よ。亡くなって40年。」

J「ジョークを言うなら笑えるものを」

O「死を笑える?」

ボリスが過去でKを殺したことで、歴史が大きく変わっており、人々の記憶までもが書き換えらえていました。

【本来の出来事】
・1969年:Kがボリスを逮捕して刑務所へ送還
・2012年:Kは生きている。ボリスは服役中(→のちに脱走)

【ボリスが書き換えた世界】
・1969年:ボリスがKを殺害。Kは殉職、ボリスは自分の惑星に戻る
・2012年:Kは40年前に殉職。ボリスが地球を襲ってくる。

ボリスが書き換えた世界では、JがMIBへ出勤した日にちょうどボリスたちボクロダイド人が地球を襲ってきます。

太刀打ちする手段がないJは、ボリス同様に過去に行き、過去のボリスと現代のボリス2人の抹殺を企てます。

映画「メン・イン・ブラック3」エージェントJだけKの記憶が残っている理由は?

では、映画「メン・イン・ブラック3」エージェントJだけKの記憶が残っているのはなぜでしょうか。

「Jだけ」記憶がそのままというのは、J本人に何かしらの理由が隠されている気がします。

ヒントになるセリフとして、作中でOがJに対して「時空破壊」と言葉を使っています。

O「チョコミルクを飲むのは、時空破壊を経験したからかも」

J「何のことだ?」

O「時空破壊は頭痛を生む」

J「時空破壊って?」

O「「時間の裂け目」

J「分からない」

O「「つまり、タイム・トラベルよ」

J「そんなものはない」

O「「あるのよ」

この後のセリフで「時空破壊」の性格な定義や詳細については説明されていませんでした。

ただ、言葉の意味から察するに、

"J以外の人はKが生存する世界から、Kが死亡した世界へ記憶を書き換えられた"

のに対し、

"Jだけは、Kが生存する世界から、K死亡した世界へ移行する際、隙間の時間の裂け目(=時空破壊)に巻き込まれて一人だけ記憶がそのまま”

と解釈することができます。

では、冒頭の疑問の通り、なぜ、Jだけ記憶がそのままだったのかについて考察をしていきます。

エージェントKとジェームズ・ダレル・エドワーズ大佐の関係

一つ目の理由は、エージェントKとJの父ジェームズ・ダレル・エドワーズ大佐大佐は密接な関係があるからでしょう。

ボリスが世界を書き換える前の1969年では、

・K:ボリスの片腕を撃つ→そのまま生存
・ボリス:Kにより刑務所へ送還
・大佐:ボリスの攻撃からKを守り殉職

3人はこの関係になります。

ただ、ボリスが過去に向かってKを殺害したことで、

・K:ボリス相手に殉職
・ボリス:生存して自分の惑星にいる
・大佐:生きている可能性大

Kは死亡、ボリスは生存。ここまでは間違いないですが、大佐だけは消息が不明です。

ただ、大佐もボリスに殺されているとは考えられず、通常に生存していると思われます。

そう考えると、ボリスがKを殺害して作り上げた現代では、Jはそもそもエージェントに入っていないため、事実が大きく変わってしまうのです。

それがJに時空破壊を起こした理由だと思います。

つまり、ボリスは過去そのものを書き換えたのではなく、Kの存在を世の中から消したのであり、それ以外の事実そのもの(容姿、職業、性格、K以外の記憶)は踏襲されているのでしょう。

ただ、Jの人生でKの存在を消すことは、

ジェームズ・ダレル・エドワーズ大佐が生存する→Kは死亡しておりJはMIBにスカウトされない→Jは父の大佐と人生を歩む→MIBエージェントではなくなる

このようにJに起こりうる事実が大きく捻じ曲げられることになるため、Jは時空破壊によりそのままの状態になっていたのではないでしょうか。

ボリスの「過去でKを殺す」発言を聞いたから

[the_ad id="5494"]

もう一つ、時空破壊に巻き込まれた理由として、JはKとともボリスの「過去のKを殺す」というセリフを聞いたことにあると思います。

これは、オバダイヤの息子のジェフリー(タイムトラベルの機器をJに渡した店主)が、1969年に向かうJにタイムジャンプのルールとして、

「パートナーを救いたきゃ、彼に近づくな」

と、接触を禁止しています。

(結局、接触はしますが、きっかけはKからJに接触をしているので問題ないという認識良いのでしょう)

この発言の意図は、書き換えたい未来があるなら、当人や関係者には知らせるなということだと思います。

そう考えると、先ほどの時空破壊とのつながりになりますが、Jは事前に「ボリスが過去でKを殺す=Kがいない未来の可能性を察した」ため、一人だけ時空移動(K生存の世界→K死亡の世界)に飲み込まれなかったのではないでしょうか。

中華料理店でボリスとあったあの晩、Kから珍しく電話があったことで潜在的にKがいない世界を予知し、一人だけ時空移動の要件に当てはまらなかった可能性があります。

もしかしたら、Kは時空破壊の要件を把握しており、自らの死亡は逃れられないものの、Jだけは意識を変えないことができると思い、電話したのでしょうか。

ハリウッド映画特有の主人公特性

最後は物語とは関係ない、演出面での理由になります。

そもそもの話になりますが、今回のタイム・トラベルの話でJの記憶が変わってしまっては、話が成立しません。

Kは死亡でこの世にいない、JはKの記憶はないけどボリスを倒す、こんなコンビを誰が見たいのかという話です。

今作のパンフレットにも、下記の文章が掲載されています。

「自分の相棒にいったい何があったのか疑問を持つJを除けば、40年前、Kが殺されていないという確かな記憶がある者は現代には誰もいない」

つまり、「物語の前提としてこのような条件です」と公式で声明を出しているようなものです。

すごく極端な話ですが、ゴジラは何で大きいの?キングコングは何で強いの?という疑問の類と同じであり、Jの記憶に関しては”最初からそうなっているもの”と捉えてくれという意味もあると思います。

「メン・イン・ブラック」では、1作品目(1997年公開)から2作品目(2002年公開)までは5年で続編が完成していますが、2作品目から今作(2012年公開)までは10年の歳月がかけられています。

その理由の一つに、タイム・トラベルによる矛盾点があり、それを細かく調節していき議論を重ねたからではないでしょうか。

これについては、別の記事ですが参考になる考察があり、下記に引用します。

またインタビューでは、ソネンフェルド監督は、本作の完成が遅れた理由について、

「脚本は、最初の部分は良かったが、タイムトラベルが絡む物語だけに、中盤以降がしょっちゅう変更されたのさ。『ちょっと待てよ、ここでこうなると、全体の筋書きに矛盾が生じるじゃないか』ということがたびたびあったせいだ」

と答えています。

一応、タイムパラドックスが生じないようにスタッフの間で議論を重ねたとのことですが、「最初の部分」の問題については触れていません。

ライム・トラベルは突き詰めていくと、どこかで矛盾が生じてしまう無限ループにハマります。

これは何が正しい、ではなく、何を正しいと思いたいかという鑑賞者の目線それぞれが正解なのではないでしょうか。

まとめ

今回は、

●映画「メン・イン・ブラック3」エージェントJだけKの記憶がそのまま残っている

●映画「メン・イン・ブラック3」エージェントJだけKの記憶が残っている理由は?

これらについてまとめました。

以上となります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
[the_ad id="5800"] [the_ad id="5494"]

Twitterでフォローしよう