有賀リエさんの漫画「パーフェクトワールド」がドラマ化されます。
物語の主人公・鮎川樹は脊髄損傷のため両足が不自由ですが、物語ではそれ以外の障害や症状もでてきます。
鮎川の障害は脊椎損傷以外にどのような種類があるのか、気になったので調べてみました。
[the_ad id="5800"] [the_ad id="5494"]この記事の目次
鮎川樹 脊髄損傷以外の障害と病気
物語では、鮎川は交通事故により、脊髄を損傷してしまいます。
それが原因で車椅子での生活を余儀なくされていますが、物語では脊髄を損傷したことより、別の障害や病気も発症していきます。
物語を深く知るために、項目ごとそれぞれの症状や対象・治療方法についても記載しました。
排泄障害
脊髄を損傷しており、排泄障害の症状も出てきます。
症状
そして、排泄障害には「排尿障害」と「排便障害」の2つが存在します。
- 尿失禁
- 排尿困難
- 頻尿
尿が我慢できなかったり、知らないうちに出てしまうこと
尿が出にくい状態(途中で止まってしまう。力んで排尿するなど)
「オシッコが近い」状態。(排尿の回数が日中10回以上、夜間3回以上)
- 便失禁
- 便秘
- 下痢
便が我慢できなかったり、知らないうちに出てしまうこと
便をすべて出し切ることができない、数日間排便がないなどの症状
激しい腹痛や発熱があって水分の多い便が出る
川奈が鮎川を助けるシーンがありますが、このような細かい部分までも原作では描かれています。
鮎川には、川奈の恋敵であり、鮎川に想いを寄せる長沢が介護ヘルパーについていますね。
排泄障害は、高齢の方にも見られる症状であり、筋力や内臓機能の低下によって引き起こされます。
治療方法
車椅子での生活を行うと、健常者と比較して体を動かす動作が限定されてしまい、特に排泄機能のある下半身を動かすことができないため、このような症状が出てきます。
筋肉の低下による場合は、例えば排泄障害であれば肛門を締める運動を行うことで改善させることができます。
しかし、車椅子の方の場合は仮に運動ができる場合でも周囲のサポートが絶対必要です。
内臓機能の低下等であれば状況に応じて薬剤や手術で改善させることが可能ですが、症状ではなく原因を明確にする必要があり、医師へ相談することが改善の一歩目になるようです。
幻肢痛
幻肢痛の描写もあります。
四肢を切断した患者のあるはずもない手や足が痛みだす。例えば足を切断したにもかかわらず、爪先に痛みを感じるといった状態を指す。
あるはずのない手の先端があるように感じる、すなわち幻肢の派生症状である。
(wikipedia)
鮎川の場合は切断ではないですが、脊髄損傷により足の感覚がないはずなのに、痛みを覚えます。
幻肢痛は詳しい原因や治療法は分かっておらず、個人的な差が激しい症状ようです。
リハビリや日常生活の中でおよそ2〜3年で軽減・消滅をしていくことが多く、薬を使いながらの介護も重要になります。
症状
症状は人によって様々なようです。
患者さんによっては、「ジンジンする」「ビリビリする」「ギューッと締め付けられる」「突っ張る」「灼ける様な」など、さまざまな表現をされます。
上肢では手指、下肢では前足部や踵部付近が幻肢痛を強く感じやすいようです。
臨床では、「今日は雨?低気圧だから幻肢痛強いんだ」といった気候の変化、特に雨や台風などの低気圧への気候の変化で幻肢痛が悪化する患者さんも多くいました。
治療方法
個人差が出る症状ですが、看護の基本は本人の痛みの訴えを信じるということ。
心の支えになってあげることが大切なようです。
徐々に消滅をしていく痛みでも有り、異常ではないことをしっかりと理解してもらい、徐々に改善をさせていきます。
投薬でも改善させることができ、鎮痛薬を使用して、症状に応じて痛みを取り除いていく必要が有ります。
褥瘡
物語では、褥瘡が原因で鮎川が高熱を出し、入院をするシーンがあります。
病院のベッドでプレゼン資料を作るシーンがありますが、その時の原因が褥瘡でした。
患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合、体と支持面(多くはベッド)との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすものをいう。
一般には床ずれ(とこずれ)とも呼ばれる。
(wikipedia)
車椅子の場合、ずっと同じ姿勢でいるため、発症します。
脊髄損傷で感覚がないため、痛みや症状に気づかずに発症するケースが多いようです。
自分で体を体を動かすことのできる人は、無意識のうちに体を動かしたり、寝返りをうったりして、体の同じ部分に長時間の圧迫をかけないようにしています。
症状
症状としては、皮膚が赤くなり、ただれているような状態です。
重度なものにあれば、皮膚の色も赤から黒に変わってしまうケースがあり、その後も皮膚が過度にただれていくケースが多いようです。
褥瘡の原因は大きく分けて3つあります。
①皮膚における原因(摩擦、ずれ、乾燥、汗などによる皮膚の汚れ)
②全身的な原因(栄養不足、持病がある、薬を投与している、むくみがある)
③社会的な原因(介護不足、情報不足)
物理的な部分では、①皮膚における原因が最も大きい要素です。
治療方法
浅い褥瘡であれば、患部を多い保護するドレッシング材を傷に張り、保護することで適度な湿り気を保たせます。
重度なものにあれば、皮膚の色も赤から黒に変わってしまうケースがあり、塗り薬を塗ることで対応していきます。
塗り薬にも症状に応じて、成分を変えて対応する必要があるようですね。
空洞症
これは物語の後半になり、出てくる症状です。
駅のホームから川奈が転落し、失意のどん底にいる鮎川に追い打ちをかけるように発症します。
脊髄空洞症とは、脊髄の中に脳脊髄液と呼ばれる液体が過剰に溜まり、脊髄が脳脊髄液によって内側から圧迫されてしまう病気です。
脊髄を形成する神経が障害を受けることから、運動障害、感覚障害などのさまざまな神経症状が引き起こされるようになります。
日本において、脊髄空洞症は難病指定を受けている疾患のひとつであり、20〜30歳代の発症例が多いと報告されています。
(medicalnote.jp)
この病気は、後頭部の奥にある小脳が生まれつき脊髄の方へ下に落ち込んでいる(キアリ奇形という)ことが原因で起こります。
物語では一番重度の症状であり、鮎川を大きく悩ませます。
症状
まずは、片手の痛みや温度に対する感覚が鈍くなっていき、徐々に両手の力が入らなくなる場合が多いようです。
症状の進行は緩徐ですが、治療せずに放置した場合には、約半数の人が20年以内に下肢にも麻痺が及びます。
発症年齢は20〜40代の女性が多いようです。
治療方法
治療には手術が必要であり、術後のフォローアップも必要のようです。
症状のある例や脊髄空洞症が進行する例では手術を勧めます。
手術の目的は、大後頭孔部の減圧により同部の髄液循環障害を改善し、頭蓋内圧と脊椎管内圧の間の圧較差をなくすことです。
手術は大後頭孔部減圧術(foramen magnum decompression; FMD)を行うのが一般的です。
術後に症状が改善する場合が多いです。
しかし、脊髄空洞症による側彎や温痛覚障害は改善しにくく、症状の進行を停止することが手術の主眼です。
鮎川樹 脊髄損傷は手術で治る?
[the_ad id="5494"]本作の鮎川は交通事故により、脊髄を損傷しています。
最後に「脊髄損傷」について調べてみました。
脊髄損傷は大きく分けて、「完全損傷」「不完全損傷」の2つに分類されます。
「完全損傷」になってしまうと、脊髄が離断されて神経伝達機能が完全に途絶えてしまい、損傷部位以下の機能が完全に麻痺してしまいます。
つまり、動かせなくなるということです。
本作の鮎川は下半身が不自由であり、これにあたるのでしょう。
脊髄損傷については、神経学の権威であり、ノーベル医学賞受賞者であったサンティアゴ・ラモン・カハールが、
「成熟した神経回路は固定されていて変更不能であり、あらゆるものは死にゆくことはあっても再生することはない」
と主張し、神経損傷は治せないという考えが一般的でした。
しかし、近年では、バイオ薬品で改善される症例が見つかるなど、最先端の医療現場では、少しずつですが、治せる方法が判明しつつ有ります。
被験者となった21歳の青年は、同年3月6日に起きた車の交通事故で頸椎(けいつい)に外傷を負い、治療前は首から下が一生麻痺したままの可能性が十分にある状況だったとのことです。
(略)
ケック医学校の発表によると、被験者の青年に改善の兆しが現れ始めたのは、注入手術から2週間後だったそうです。
そして、3カ月後には自力での食事、携帯電話の操作、名前の筆記、電動車いすの操作、友人や家族の抱擁などができるようになりました。
つまり、2つの脊髄レベル(C2~C4とC5~T1)までの運動機能がある程度回復してきていることがわかります。
この患者も歯磨きをしたりなど日常生活ができるほどではないですが、数値上は改善しているのです。
この手法はまだまだ試験中の最先端な内容であり、現実的に用いることはできません。
本作の鮎川はすでに脊髄損傷で歩くことができない体になっており、ここからの快復は難しいと思われますが、世の中の医療は少しずつですが進歩しているのです。
まとめ
ドラマ化されるパーフェクトワールドの主人公・鮎川樹が抱える各障害について記載していきました。
フィクションの物語ですが、原作者の有賀リエさんはかなり細かい取材を重ねており、リアリティ溢れる内容になっています。
物語がテレビドラマ化され、障害について考える人が多くなれば良いですね。
以上となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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