映画『サマーウォーズ』のおばあちゃんの遺言が書かれた手紙の意味を考察します。
果たしてどんなメッセージが込められているのでしょうか。
エンディングでおばあちゃんの遺影が笑っている理由も合わせてまとめました。
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この記事の目次
【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺言(手紙)の内容
『サマーウォーズ』のおばあちゃんの遺言(手紙)の意味を解説、考察します。
おばあちゃんの遺言(手紙)は夏希が遺品を整理したときに発見します。本の間に栞のように挟まれていました。
この時すでにOZの世界でラブマシーンの暴走が始まり、キングカズマが戦い挑むも敗れていました。
さらに暴走を続けるラブマシーンはシステムを操作し、2時10分後に世界のどこかの核施設に惑星探査機を墜落させるというカウントダウンが始まっていました。
地球が破滅に向かう中、長女の万理子が家族に向けておばあちゃんの遺言を読み上げるのです。
遺言(手紙)の内容
おばあちゃんの遺言の内容を紹介します。セリフの通り、一言一句同じにしています。
家族へ。まあ、まずは落ち着きなさい。人間、落ち着きが肝心だよ。
葬式は身内だけでさっさと終わらせて、あとはいつも通り過ごすこと。
財産は何も残してやしないけど、古くからの知り合いのみなさんがきっと力になってくれるだろうから、心配はいらない。これからもみんなしっかりと働いて下さい。それと、もし侘助が帰ってきたら、10年前に出ていったきり、いつ帰ってくるか分からないけど、もし帰ってくることがあったら、きっとおなかを空かせていることだろうから、うちの畑の野菜やブドウやナシを、思いっきり食べさせてあげて下さい。
初めてあの子に会った日のこと、よーく覚えてる。耳の形がじいちゃんそっくりで、驚いたもんだ。朝顔畑の中を歩きながら、今日からうちの子になるんだよって言ったら、あの子は何も言わなかったけど、手だけは離さなかった。あの子をうちの子にできる。
私のうれしい気持ちが伝わったんだろうよ。家族同士、手を離さぬように。人生に負けないように。
もし、つらい時や苦しい時があっても、いつもと変わらず、家族みんなそろって、ごはんを食べること。一番いけないのは、おなかが空いていることと、1人でいることだから。私はあんたたちがいたおかげで、たいへん幸せでした。ありがとう。じゃあね。
おばあちゃんの死因
おばあちゃんは持病の狭心症が原因で心肺停止してしまいました。
持病のため本来であれば心肺に異常があると万作宛にアラームがなるよう設定されていましたが、OZがラブマシーンに乗っ取られたことでアラームが正常に機能しませんでした。
結果、心肺停止のまま発見が遅れてしまい、誕生日前日の7月31日におばあちゃんは帰らぬ人となったのです。
葬儀は翌日の8月1日に行われています。
【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺言(手紙)の意味
続いて、『サマーウォーズ』のおばあちゃんの遺言(手紙)の意味を考察します。
おばあちゃんの遺言には大きく分けて3つの意味があると思います。
・家族へのエール
・侘助への想い
・本当に大切なこと
それぞれについて解説します。
家族へのエール
最初は、家族全員に対してメッセージを送っています。
おばあちゃんが亡くなると家族全員が動揺してしまう。そんな出来事を先回りしたかのように、言葉を綴っています。
「落ち着きなさい」「あとはいつも通り過ごすこと」が最初にくる遺言状は珍しいですね。
その後に「心配はいらない。これからもみんなしっかりと働いて下さい。」という言葉が続いています。
動揺する家族に対して、いつも通りでいてほしいという想いが隠されています。
侘助への想い
中盤からは隠し子の侘助への想いが綴られています。
遺言でバイネームで記述されているのは侘助だけです。
おばあちゃんが亡くなると、侘助は家族内でいっそう孤立してしまう可能性が高いです。
この手紙を書いている時は、まだ侘助が帰省する前だと思うので、自宅に帰ってきたら温かく迎えてほしいというメッセージでしょう。
他の家族は毎年会っていますが、侘助には10年ほど会えていないため、侘助への愛情を表すためにも記述したのではないでしょうか。
最も伝えたいこと
最後に、おばあちゃんが最も伝えたいことが書かれています。
・つらい時や苦しい時があっても家族揃ってごはんを食べること
・一番いけないのは、おなかが空いていることと、1人でいること
この3つがおばあちゃんが最も伝えたかったことでしょう。
1920年生まれのおばあちゃんは戦争を経験しています。戦争を経験し、もしかしたら大切な家族や知人を失っている可能性もあります。
そのため、家族いること、1人でいないこと、お腹をすかせずに生きることができれば、人生はきっと素敵なものになると伝えたかったのでしょう。
【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺言は侘助に贔屓?
[the_ad id="5494"] 『サマーウォーズ』のおばあちゃんの遺言(手紙)では、隠し子で養子の侘助の名前が記述されています。個別の名前が出てくるのは侘助だけのため、「侘助だけ贔屓されている」と感じた人もいると思います。
しかし、これは決して贔屓ではなく、おばちゃんの家族全員に対してのちょっとしたお願いだと考察できます。
侘助はおばあちゃんの実の子供ではなく、夫で故人の陣内徳衛とその愛人の子供です。
戸籍上は養子となっていますが、おばあちゃんをはじめ陣内家の誰とも血は繋がっていません。
その上、おばあちゃんが遺言を書いた時は、侘助は10年間行方知れずであり、どの家族とも交友がありませんでした。
さらに、侘助はおばちゃんの財産を奪い取って行方をくらませたと家族内で噂になっていたのです。(実際はおばあちゃんが資産を売ってお金を捻出した)
もしおばあちゃんが死んだ後に侘助が帰ってきた場合、このような背景から侘助が孤立してしまうかもしれません。
それはおばあちゃんが大切している「家族でいること」や「1人でいないこと」の考えに背いてしまいます。
そのため、おばあちゃんが遺言でしっかりと言葉を伝えることで、家族に侘助もよろしくと言いたかったのでしょう。
おばあちゃんは侘助も本当家族のように接しており、作中でも甘やかすことなく厳しく接していましたね、
【サマーウォーズ】おばあちゃんはなぜ死んだ
『サマーウォーズ』を観ていると、おばあちゃんの死によって絶望の淵にいた家族が再度団結し、ラブマシーンに挑むことができています。
「死」を肯定することはできないですが、おばあちゃんの遺言で家族が奮い立ったのは間違いないでしょう。
細田守監督は人の死を描かない作品で有名で、当初はおばあちゃんも死なない設定でした。
しかし、家族の形を再び1つにするために、演出的におばあちゃんの死は必要という結論に達し、設定を変更したそうです。
当時は細田守監督は家族の体調がすぐれず、もしそのような演出をしたら実の家族も亡くなってしまうのでは、という想いもあったそうです。
(『サマーウォーズ』は2009年8月に公開されましたが、細田守監督は2009年5月に母親を亡くし、6月に祖母を亡くしています)
【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺影の写真が笑う理由
サマーウォーズの最後に、おばあちゃんの遺影が笑顔に変わってるのが、めっちゃ好き pic.twitter.com/0wSjthDWU9
— DJ AiR by JUNKI ほとんどインスタにいます (@junnki21) February 22, 2014
『サマーウォーズ』のラストでは、おばあちゃんの遺影に変化があります。
当初、遺影のおばあちゃんの写真は微笑む程度の顔つきでした。
しかし、物語の最後ではしっかりと笑みを見せる表情に変化するのです。
もちろん遺影が笑うということはないため、アニメーションでの演出なりますが、あえて笑顔にさせたということでしょう。
天国から家族の活躍を見て誇らしげに思ったおばあちゃんが、一瞬だけ家族の前に現れたのかもしれません。
まとめ
今回は、
●【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺言(手紙)の内容
●【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺言(手紙)の意味
●【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺言は侘助に贔屓?
●【サマーウォーズ】おばあちゃんはなぜ死んだ
●【サマーウォーズ】おばあちゃんの遺影の写真が笑う理由
これらについてまとめました。
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