ドラマ「集団左遷」の放送が始まり、江波戸哲夫さんが書かれた原作に注目が集まっています。

原作は2つの小説から構成されており、ドラマの最終回もどう変わっていくのか注目ですね。

今回はドラマ「集団左遷」の原作小説について深堀りしてみました。

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ドラマ「集団左遷」 原作小説の概要

ドラマの集団左遷では2つの原作小説があります。

・「銀行支店長」
・「集団左遷」

ともに作家・江波戸哲夫さんが書かれた本です。

それぞれが独立した物語であり、登場人物や主人公が所属する業界など全く異なる設定です。

唯一、似ているのが時代背景

原作本の発売はバブル崩壊の直後であり、「銀行支店長」が1992年9月発売、「集団左遷」が1993年6月発売と時代背景は似通っています。

それでは、2つの原作についてネタバレ、結末、感想・評判をまとめていきます。

「銀行支店長」概要

まずは「銀行支店長」についてです。

銀行支店長は1992年9月に発売。

舞台はタイトルの通り銀行であり、主人公・片岡史郎は支店長です。

単行本では「支店長、最後の仕事」と明記されており、自身のキャリアをかけて幾多の困難を乗り越えていくのです。

実は、ドラマの登場人物を見ると、主人公・片岡の苗字(役:福山雅治)、副支店長・真山徹(役:香川照之)など、「集団左遷」ではなく、「銀行支店長」の登場人物の名前が使用されています。

原作ネタバレ

突然の異動

「銀行支店長」は三友銀行で出世を狙う主人公・片岡史郎が、”難民キャンプ”と揶揄される飯田橋支店の支店長に人事異動するところから始まります。

同期の須崎が突然辞表を出したことで、副頭取役から直々に通達を受け、片岡は昇格を目指して奮闘を決意します。

しかし、三友銀行飯田橋支店は過去に合併を果たした大昭和信用金庫の元本店。

三友銀行一筋の片岡を敵対視する部下がほとんどであり、全33名のうち30名が元大昭和信用金庫の社員です。

さらに、飯田橋支店の預金残高は625億円、しかし、隣の四谷支店はおよそ1,500億円弱であり、立地条件が違うといえど、2倍以上も話されている「ダメ支店」でした。

副頭取役からの指令を受けた片岡は自身の役員昇格を目指して、諦めることなく業務にあたります。

成績の上がらない行員には積極的に話かけて指導をし、時に助けてあげながら、共に進んでいくのです。

私は必死になって、新しい部下たちの教育に励んだ。

半期だけの成績をあげればいいのなら、彼らを放っておいて、私一人で十人前の仕事をやった方が早いのだが、一年以上となるとそうはいかない。

信頼を得る支店長

日々の苦労を重ねていた片岡でしたが、次第に支店内の古参3人から支持を得ることができ、徐々に雰囲気も変わっていきます。

3人とは、次長の真山徹、主任の木田美恵子、得意先課長の平正樹。

真山とは、結果的には相手の不正があり頓挫しましたが、「田口るみビューティーサロン」へのおよそ11億円の融資案件を共に取り組み、信頼関係を気づいていきました。

木田とは、理不尽な顧客クレームを受けているところを間に入り、代わりに解決に導きました。

アフターフォローでも、泣きじゃくる木田に「食事に行った方がいいな・・・誰か呼ぶかい」と少しとぼけたり、器の大きさを見せるシーンでした。

平には、片岡自らがとってきた三嶋食品の案件を「部下の手柄にさせたい」と本人には内緒で譲り渡します。

これは不動産投資でおよそ16億円の大型案件であり、平も目の色が変わって仕事に打ち込むようになります。

最悪の融資詐欺

しかし、三嶋食品の不動産投資案件には大きな落とし穴がありました。

16億円の融資を行った後、融資先の社長・三嶋和生が妻と共に姿を消すのです。

実は会社の大型取引を打ち切られて、現金欲しさに三友銀行に嘘の投資案件を持ちかけ、不正融資を引き出したのでした。

片岡はもう役員昇格どころか、クビになっても不思議ではない状態になり、最後の力を振りしぼて三嶋を追いかけるのです。

ある日の退社後、片岡は自宅へ向かうと誰もおらず、こっそりと中に入ります。

部屋には一枚メモに電話番号が書いてあり、三嶋の親を偽って電話し、その相手から三嶋和生と妻が「海外へ行った」と情報を聞き出すのです。

そして、本棚を見ると、「フィリピンの旅」という書籍が置いてあったのです。

原作結末

三嶋夫妻を追い掛けるためにフィリピンへ向かう当日、片岡の元に「自分も協力をしたい」と真山が現れます。

真山の強い決意に押されて二人でフィリピンへ向かいますが、現地では市内のホテルに全て電話をかけても見つからず、足を使っても見つかりません。

しかし、最後の立ち寄ったカラオケクラブで三嶋を発見します。

片岡は飛びかかり、顔や背中を殴られて意識不明にまでなりますが、駆けつけた真山が取り押さえ、三嶋を確保するのです。

最終的に片岡は責任をとって銀行を退職します。

そして、

この旅行から帰ったらオレはもう一度、挑戦する。

時代遅れでも何でも構うものか。

寝る時間を削ってでも、とり組みたい仕事を見つけて、とことん打ち込んでやるんだ。

と、新しいチャレンジを誓うのでした。

感想と評判

それでは、実際に「銀行支店長」を読んだ方の感想を記載していきます。

2019年4月から始まるドラマの原作と言うことで、読んでみました。

四苦八苦しながらも、皆の為、自分のためにノルマに挑む支店長の描写が分かりやすく、最後の最後まで読み切りたくなる1冊でした。

銀行を舞台とした小説は、池井戸さんの作品を多く読んだので、主人公の仕事、家庭に対する価値観が異なっているので、新鮮に感じた。

江波戸さんの作品は、おそらく昭和50年代頃の価値観で描かれているんだろう。

懐かしくもあり、時代の流れを感じた1冊であった。

部下の教育、マネジメント、取引先との折衝、情熱と責任を持って目の前の仕事に向き合う片岡から、仕事の面白みってこういうことなんだなと気付かされた(詐欺は経験したくないけど)。

ラストは一気に読み進めた。

言葉の使い方だったり、情景の描写がとても好き。ドラマ化も楽しみ

「集団左遷」概要

ドラマのタイトルと同じ原作「集団左遷」。

発売は1993年6月と「銀行支店長」の翌年でした。

「集団左遷」は、財閥系不動産会社・三有不動産でリストラ目的で集められた「首都圏特販部」という部署が舞台になっています。

時代はバブル崩壊により不動産業者の多くが不当債権・在庫を抱えている時代です。

しかし、法律ではリストラをすることができないため、会社は敗戦処理目的でダメ社員による「首都圏特販部」を作り、自主退職へ追い込もうとしていきます。

ネタバレ

主人公・篠田洋は副社長・横山から50人の「首都圏特販部」の部長にあることを命じられます。

横山は精鋭というものの、集められたメンバーを見れば明らかに"追い出し部屋”(=リストラ候補の集まり)でした。

「首都圏特販部」に集められた戦力社員は南野俊一ただ一人であり、他は一癖も二癖のあるメンバーしかいません。

バブル後に一度退職勧告を受けている花沢、肝臓を抱える妻を看病しながら働く柳田、派手服と女性関係で問題視されている滝川・・・。

それでも篠田たちは躍起になって仕事に取り組み、上層部と対抗を果たしていきます。

しかし、なぜか不動産の契約直前になり、急にキャンセルをされてしまう事例が相次ぎます・・・・。

何と同じ「首都圏特販部」の花沢がスパイ行為を働いていたのです。

ここからは「首都圏特販部」が知恵を出し合って懸命に働くシーンや、上層部との駆け引きを行うミステリーの要素が混ざっていき、物語が展開していきます。

原作結末

最終的に「首都圏特販部」は一定の成果を残しながらも、会社の現状に失望した多く社員が自主退職を果たします。

また、「首都圏特販部」を創設した黒幕の副社長・横山は解任され、三友不動産はバブルの負の遺産を少し軽くして、新しいスタートを切るのです。

残念なことに主人公・篠田洋は会社の上層部との争いに心が疲弊してしまい、自殺をしてしまいます。

最後は妻・秀子が「首都圏特販部」で活躍した滝川ら社員を死の原因を語り合いながら、物語は終焉していくのです。

感想と評判

初版は1993年と解説にある。バブル崩壊直後の、不動産会社の内幕を描いている。

社内の余剰人員を削減するために設けられた部署の人たちが、生き残るために裏切り、努力をするが、最後の結末は社内派閥争いの犠牲となり、無惨な形に終わる。

池井戸の勧善懲悪スタイルではなく、一方的に負けてしまうのが辛い。

一気に読める面白い作品ではある。

不動産会社に勤めるサラリーマンの悲哀と負け組の逆転劇の話。

最近はこの設定の本やドラマが数多く話題になっているが、これはそれらに先駆けてヒットした作品みたいだ。

確かに読むと良く似ていた(笑) 面白くて、読みやすい作品でした。

「集団左遷」ドラマの最終回

「銀行支店長」と「集団左遷」をもとにしたドラマが、どのような最終回になるかは気になりますね。

「銀行支店長」は退職するも前向きなシーンで終わり、「集団左遷」は社員としての誇りを持ちながら自殺をしてしまいます。

テレビの要素を考えると、「銀行支店長」の方が良いかもしれませんね。

実際にどのような結末になっていくかは、ドラマの最終回を見るしかありませんね!

「集団左遷」まとめ

ドラマ「集団左遷」の原作、「銀行支店長」と「集団左遷」にのネタバレ、結末、感想・評判をまとめました。

物語の設定は似ていますが、結末が対照的であり、ドラマがどんな様子になるかは楽しみですね。

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